2016年1月24日日曜日

日本画の塗り方

日本画の絵の具とその溶き方、膠液の作り方、紙、紙のドーサ引き、筆の種類と紹介してきました。
キク

今日は日本画で絵の具の置き方について説明します。

濃淡の違う墨や岩絵の具を2本の筆にそれぞれ含ませて、たらし込みやぼかしの技法に用います。ここでは墨の例をあげます。

たらし込み
墨を筆につけてまず目的の場所にのせます。乾かないうちにもう一本の筆に先ほどとは違う濃さの墨を含ませて、紙に筆を置くように垂らします。すると最初に置いた墨との間の水のはたらきで墨が散ります。こうして濃淡の自然なトーンが生まれます。これをたらし込みの技法といいます。

これは墨の濃淡だけでなく、岩絵の具の濃淡でもできます。さらに色の違い、粒子の細かさの違いなどでも行うことができる手法です。ふつうたらし込みも含めて日本画の色を重ねるときは、粒子の細かいものから大きい粒子のものへと重ねていくようにします。

そして明るい色から置き、だんだん暗い色を置いていきます。さらに薄い色から濃い色に向けて置いていくとよいです。

ぼかし
紙に置いた墨のあとに、今度は別の水を含ませた筆で、墨の変わり目近くをすっと引いていくように筆を動かします。

すると濃淡の美しいぼかしが出来上がります。

ため塗り
膠液で溶いた岩絵の具を筆にたっぷりすくいとり、ねらった場所に溜めていくように置いて、色の面を作っていく技法をため塗りといいます。

ちょうどすくい上げた岩絵の具を筆で目的の場所に置いて集めていくような感じです。これは岩絵の具の粒子の大きさや比重の違いを組み合わせていくと、じつに多彩な表現を演出することができます。

比重が大きい朱などの絵の具は下塗りした色のさらに下にもぐりこませることができます。ただし。下塗りの絵の具を置いて十分水分があるうちに行います。これによって下塗りの下の朱の粒子がわずかに垣間見えることによって、独特の色合いの深みを出すことができます。

そして、筆使いによって、濃淡の違いをつくることができます。あくまでも筆を置く感じを維持します。日本画の場合には色を重ねる場合、下塗りが乾いていないと、筆を引いてしまうと下塗りと一緒に色がずるずると一緒に動いてしまいます。

掘り塗り
輪郭線などの線をぬり残して両側に絵の具をその両側に置きます。塗り残した輪郭線をはっきり見せたり、弱くなじましたりいずれもできます。

これらの技法はいずれも最初に置いた方の絵の具が乾かないうちに行うのがポイントです。日本画は思いのほか水(膠液)を多用します。

いずれの技法も日本画ではよく使います。したがって練習用の紙に何度も習字の練習のようにやってみて、何度でも思ったとおりにできるようになってから、本紙にチャレンジします。何度も練習して自分がほぼ思い描いていた通りのぼかしや、たらし込みなどができるととても楽しいものです。日本画の醍醐味といえるかもしれません。





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