2018年7月31日火曜日

スケッチの楽しみ

先日フランスに行った話をこのブログに書きました。少し前のことですが、美術館めぐりをしました。今日は同時に訪れたイギリスでのお話です。

ロンドンの東、バスで高速道路を2時間かからないところにある街がカンタベリーです。こじんまりした街ですが、ここにはカンタベリー大聖堂があります。

11世紀にはじめの建物が建てられ消失後、その後再建されたたイギリス最古のゴシック様式の教会です。街の中心は城壁が残りその古い城壁は独特の風情を醸し出しています。世界文化遺産です。

私はこの教会のステンドグラスの美しさに感動しました。しばらくじっくり見た後、小さなスケッチブックに鉛筆でステンドグラスをはめてある窓をスケッチしました。

スケッチをすると、写真とは違い、対象となる物の形や色などの特徴をしっかり目に焼き付けることができます。それだけそのものをくまなく見渡しその特徴をつかまないとスケッチできないからです。

著作権などがあり、このブログでは紹介できませんが、非常に美しい形をした窓に巧みな技でつくられた各時代や様式のステンドグラスがはめ込まれています。「カンタベリー大聖堂 ステンドグラス」と検索すれば画像がたくさん見られます。

陽が当たる方角の窓よりも、陽が直接あたっていない窓の方が色が鮮やかに見えました。自分たちで準備した旅でしたので、2時間以上教会に滞在してスケッチを残すことができました。写真も撮りましたが、やはりスケッチした印象の方がいまだに強く残っています。

スケッチしている間にも地元の方々でしょうか、聖歌の練習をされていました。オルガンの響きとともにいかにも天上でひびく歌声のように聞こえてきました。天上世界をここではじゅうぶん夢想できる場だと感じました。とても良い経験ができました。


2018年7月26日木曜日

仏像の鑑賞

庭のケヤキの木が大きくなりました。しかし昨年夏の台風の際に太い枝が折れてしまいました。そこで丸太にして、軒先に置いて乾燥させています。小さな仏像を彫刻してみようと思ったからです。

さて、仏像は日本に伝わる前から仏教の教えに付随して、アジア各地に広がっています。したがって、日本に伝わってから、日本独自の文化の影響を受けて洗練されてきました。

仏の形をこのようにも多様で、さまざまに表現することが可能なのかと思うことがあります。そして共通するのは仏の姿からさまざまな思いが伝わってくることです。

作り手や信仰する人々の間で、歴史を経て連綿と伝えられてきたということに、時間の流れを感じるとともに、仏像を通じて人の心の中の思いの共通性をも感じることができます。

皆さんも身近な地域にあるお寺や博物館、美術館の仏像を鑑賞してみましょう。どんな思いでその像が作られたのか、思いをはせてみましょう。

有名な仏像をいくつか紹介します。

(1)釈迦三尊像(法隆寺)
飛鳥時代の7世紀に作られた古い仏像です。聖徳太子の姿を移したともいわれています。7世紀に鞍作止利 (くらつくりのとり)の作とされています。国宝の銅像です。

(2)阿修羅(興福寺)
奈良時代のこの像は8世紀に作られ、腕が6本、顔が3面ある姿です。皆さんぐらいの若い顔つきをしています。ふっくらしたほほに表情が真剣そのものです。国宝の乾漆像です。

(3)薬師如来坐像(薬師寺)
この像は7~8世紀に製作されました。銅には鍍金されていました。製作当時はきらびやかだったことでしょう。白鳳時代のものです。均整のとれた像です。

(4)阿弥陀如来像(平等院鳳凰堂)

平安時代の11世紀、仏師、定朝(じょうちょう)の作です。優しく穏やかな表情の仏像です。最も古い寄木造の像です。国宝の木造です。この像はとりわけ姿がよく、このあとしばらくこの定朝の仏像に似せた像がいくつも作られたといわれています。



2018年7月22日日曜日

絵の具の混色について

木々の緑を水彩絵の具で出そうとすると、12色セットや24色セットのなかのビリジアン(ビリディアン)や緑色、黄緑色ではどうにも表せないときがありますよね。

私も中学、高校時代に悩んでああでもないこうでもないと、混色を試みました。そのなかでわりとましだったのが、この木々の葉の色です。

あきらかに ビリディアンに茶色(バーントシェンナ)をほんの少し混ぜた色に見えました。特に日本の古来からの色である鶯(うぐいす)色、鳶(とび)色、松葉色(下図、モニタ画面上では若干色が合っていないかもしれません。)







などはいずれもその混色で近い色が出せることに気づきました。結構渋い色です。
そこで、高校の美術の時間にその色を使って和風の版画に使っていたら、美術の先生から「おお、なかなかいい色を出してるな。」とほめてもらえました。

それから油絵の場合の木々の緑については、19世紀フランスの画家のコローや、同時期のイギリスの風景画家のコンスタブルなどの画集を眺めますと、独特の木々の葉の色の表現が見られます。それまでにない黄色に黒を混ぜる表現に成功しています。コローの銀灰色と呼ばれる表現だそうです。

じっさいに油絵を描くときに私もその混色を行ってみたことがあります。たしかに黄色に黒を混ぜると、上で書きました、緑色に茶色を混ぜるのとはまた感じが違います。木々の緑の陽に照らされている部分から葉陰の部分の色に至る階調を多段階で表すには、たしかに黄色~黒による混色は優れているなあと感じました。

こういった混色や、点描による色の並置はさまざまな画家が試みています。

絵の具箱のチューブから出したままの色は、水彩の風景画の場合にはあまり使わないです。
ただし、混色が過ぎると濁った彩度の低い色になりがちですから、注意が必要です。2色を混ぜるだけでも数限りない色が出せますから、皆さんも自分なりの混色の組み合わせを考えてみてください。

絵の色については奥が深いので、また別の機会に書きたいと思います。

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中学 美術を ひとつひとつわかりやすく。

2018年7月21日土曜日

自然の色

スケッチをしていると自然には様々な色があることに気づくと思います。木の葉の色を見ても日が当たっているところと影のところでは色が違って見えます。また、日が照っている風景と、日が陰ってくもっている時の色もまたちがいます。

このように丹念に見ていくと画用紙の上にどのように表現しようかと迷うこともあります。

例えば、印象派の画家たちは、光の表現を色で行うことに苦心しました。

モネなどは同じ対象でも、時間によって陽の光には違いがあり、まったく印象が違ってきます。モネの絵を見ると、朝と夕では同じ積み藁(わら)でも色も表現法も違っています。

私自身、長い間自然の色を観察してきて、木々の葉の緑の色の多様なことに驚いています。それで様々な混色を試みてみたり、混色しないで、ある色のそばに違う色をわざと置いてみて、木々の葉のように見えないか工夫してみたりしています。

こうした工夫は水彩画だけでなく、油彩やアクリル絵の具でもできますが、それぞれの絵の具の特性により、また異なります。


したがって、自然の色を再現することは、とても奥が深く、やりがいのある作業だといえます。そういう意味では印象派の画家たちの仕事は完了したわけでも完成したわけでもないといえます。

2018年7月17日火曜日

日本の文化 盆栽づくりと鑑賞

はじめに


盆栽とは草や木を盆栽鉢に植えつけて品よく仕立てて眺め楽しむ趣味です。趣があり海外でも評価され、若い人々にも愛好家がみられます。自分の姿を小さくして盆栽の木を大木と見立て想像し、スケールの大きさを思い描くことのできる盆栽に銘品があります。経験が必要な面もありますが初心者なりの楽しみ方もあります。

盆栽をはじめてみよう
盆栽をつくってみたいと思ったらまずは初心者でもチャレンジできる植物から選びます。まず手始めに身近で盆栽を作っている人にたずねるとよいでしょう。するといくつかの候補となる植物を教えてくれるでしょう。

あるいは自分が育ててみたい植物をいくつか挙げてその中から選んでもらってもいいでしょう。失敗しにくいものを選んでくれるはずです。

多くの植物は盆栽に仕立てることができます。ます初心者ではある程度まで育てられた若木の盆栽を選択して育ててみるのがおすすめです。ある程度まで形が整っているはずですから、それなりの盆栽に仕上げる楽しみがあります。

まずはそのあたりから練習のつもりで作ってみるとよいです。するといろいろなことが盆栽には必要なことがわかってきます。生き物を育てるので、熱心に栽培するとそれなりにこたえてくれてかたちになっていきます。

盆栽をつくっていくとさまざmな植物が盆栽にできることに気づくでしょう。すぐれた盆栽は見る人を驚かせ、しかも独特の世界観を演出してくれます。しかも鉢とのバランスや品格などが感じられるものです。

何から準備するとよいか
盆栽を商品としている店に行くと目移りしてあれこれほしくなるかもしれません。でもそこはぐっとがまんして初心者のうちは無難なものを選択するほうが後悔しません。わからないときは初心者であることを店の人に伝えて、自分の興味の中から選んでもらうとよいでしょう。

たいていは店の人は丈夫で育てやすいものをえらんでくれるはずです。しかもただ買ってくるのではなく、その場でポイントになることを教わりましょう。水やりの回数や家のどこに鉢を置いたらいいのか、肥料はどうするのかなどです。

とくに冬場の置き場所、それから病害虫への対策などいろいろと悩みや迷うことが出てくるかもしれません。その点でも店の人と情報を交換し合うことはたいせつです。店の人もしっかり育ってほしいので、たいていのところは親切に教えてくれるでしょう。

育てていると植物の種類によって育て方や環境に対する影響の違いがあることに気づかされます。そして育てるうえでだいじなこと、ポイントになるコツがあることに理解が進みます。

それぐらい慣れてくると今度は盆栽の仕立て方、つまり剪定や植え替えなどもう一段階先のレベルに進んでいきます。

盆栽に関する情報の収集
最近では本やネットで盆栽の育て方や仕立て方などに関する情報が豊富にあります。それらの中から自分の興味に合ったものを選択して、それをしばらくのうちはよく学んで、忠実に再現できるかどうか育ててみます。

その途中では植物は病害虫に合うかもしれません。肥料の選択に迷うこともあるでしょう。それらに関しては状態を把握することが何より大切です。わからないときには自分で判断しないで、買った店に状態をつたえて相談するなり見てもらうなりするのがよいでしょう。

慣れないうちは気づかないでポイントをおさえきれていないことがありがちです。そのためさまざまなトラブルが生じることがあります。水のやりすぎや適合しない薬の投与などはありがちです。


丈夫な植物の場合にはかわいがり過ぎずポイントだけしっかりおさえた育て方のほうがよい場合もあります。生き物を育てるのですから最後までしっかり面倒をみることは植物でもたいせつです。

2018年7月14日土曜日

絵を見に行こう

夏休みです。街に出るのもいいですが、たまには美術館や博物館にいってみるのはどうでしょう。

日本のすごいのはどの都道府県でも基本的に有名な画家やよく知られた作家の作品が常設されている部屋があることです。

したがって皆さんが住んでいる近くの美術館(都道府県立のもの)では、そういった作家の作品を少なからず置いています。

この作品はここにあるのかというような発見もあります。有名な作家だけでなく、その地方に根ざした風土を丹念に追った作家も数多くいます。

そうした作品の中からお気に入りの一品を探すというようなテーマを決めてみると楽しみが増します。それから気の合った少人数の仲間とみるのもいいでしょう。その場で互いに感じたことを言い合えるのもいいです。


見終わると、何かしら元気をもらえますし、気分を新たにすることができます。「よし、明日もがんばろっと。」そう思える場所です。