2018年9月30日日曜日

そぼくだけど心ひかれる絵

多くの皆さんは、絵を上手に描きたい、どうやったら思った通りに描けるのだろうと一度はお思いになったことでしょう。

さて、その結果はどうですか。世の中の人々の多く、これには画家も含めてかもしれませんが、その目標や夢はなかなかかなえられていないかのようです。

じつは多くの人にとって絵を上手に描きたいというのは画家のように描きたいあるいは、画家のようには描けなくてももう少し思った通りに描きたいということだと思います。

それが最近では、そうでもなくなっている部分もあります。私の親しんでいる作家のひとりが椎名誠です。

この人の表す書物の多くに挿絵を描いているイラストレーターに沢野ひとしがいます。じつは二人は幼馴染です。

椎名氏は、沢野氏の一見頼りなげに見える絵を「グラム何円」といふうに最初は買っていたという逸話が残っています。椎名氏は沢野氏の絵を評価して自分の著作に使っていたことになります。

しかし、沢野氏はこの自分の絵のスタイルを確立します。この頼りなげな絵が世間の評価も得たことになります。決して従来の絵の価値観からは、評価の対象にすらならないタイプの絵です。

したがってこのようなタイプのイラストや絵は、この2021世紀の世界ではごくふつうになりつつあります。絵に対する価値観が大幅に変わり、世の中の人もそれがごく当たり前と思えるような時代になったといえます。

これを最初に世に出した人はさぞかし勇気がいったのでは、とお思いかもしれません。じつは西洋にもアンリ・ルソーなど「素朴派」などと呼ばれている画家がいます。

彼は、かなり年齢がすすんでから絵を描くようになります。しかもそれは独学で我流です。まわりの人々は最初は、彼のデッサンや絵のおかしな点を指摘することに終始します。

でもピカソやゴーギャンは違いました。彼の絵の持つ独特の世界観に築いてピカソら自身にはないものを発見したといわれています。

それ以降、彼の絵の本当の価値に気づいた人々が増え、彼の絵は一定の価値と美術史上に名を遺すまでになりました。

こうしたタイプの絵が世に認められ、世界中の人々が愛好する対象になってきました。

このブログでは何度かこのことに触れてきました。もはや絵はうまく描くことや、そっくりに見えることのみの価値観だけで表されるものではありません。

様々な価値観があり、それは絵を描く人の個性や考え方の多様性の現れです。

ですから、基本的にどのように描いてもいいのだということです。ただし、無茶苦茶にやっていいということではありません。

支離滅裂とスタイルを確立することを混同し、はき違えてはいけません。無茶苦茶では長続きしませんし、人々の感動や共感も得られないでしょう。


表現を楽しむのが美術や芸術です。人のあり方にも通じるものの見方です。その意味ではいい時代だと思います。

2018年9月19日水曜日

ドライポイント練習問題2

ドライポイントについての練習問題をさらに作りました。

1.次の問いに答えよう。

(1)ドライポイントは凸版、平板、凹版のうち、どの版画の方法になりますか。

(2)ドライポイントで下書きで描いた線は、版画の紙に刷ったときには白い部分になりますか。それとも黒い部分になりますか。

(3)ドライポイント同じ版画の方法をとるものが次のうちひとつあります。記号で選びましょう。
 ①シルクスクリーン ②エッチング ③リトグラフ ④コラグラフ

(4)ドライポイントは、塩化ビニールなどのうすい板を、先がとがった針で彫ります。この針のことを何といいますか。

(5)ドライポイントの場合、インクが入るのはどの部分ですか。次のうちから記号で選ぼう。
 ①彫り残した部分 ②彫った部分 ③彫り残した部分と彫った部分

(6)ドライポイントで、インクをしっかり彫った場所に入れるためには、彫る際にどのように彫ればいいですか。

(7)ドライポイントで塩化ビニール板にインクを入れた後、刷るまでの間に行う必要がある操作を書こう。

(8)ドライポイントなど凹版でする際に使う機械を何といいますか。

(9)ドライポイントのように、版を直接彫る版画を何といいますか。

答え (1)凹版 (2)黒い部分 (3)② (4)ニードル (5)②
(6)ニードルを立てて使う (7)余分なところについたインクをしっかりふき取る。(8)プレス機 (9)直接法





2018年9月13日木曜日

古代の美術練習問題(その2)

古代の美術に関して練習問題をさらにつくりました。

問1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。なお( )に選択肢があるときは、ただし方を選んで入れよう。

ラスコーの洞窟には力強い表現で動物などが躍動的に描かれています。そして(①スペイン イタリア)のアルタミラの洞窟にも活き活きとした動物の姿が描き出されています。

新石器時代になると農耕や牧畜が始まります。すると巨大な(②巨石 木製)建造物が作られました。イギリスの(③ストーンヘンジ ネス湖)はそうした遺跡のひとつです。

ちょうどその頃の日本では、人々は採集や狩猟の生活をしていました(縄文時代)。この時代に作られた( ④ )土器の中には、伸びやかで躍動感に満ちたものがあります。また( ⑤ )は優れた装飾性を備え、日本の美術の源流といえます。

大阪万国博覧会の会場の「太陽の塔」を作成したことで知られる(⑥岡本太郎 黒田清輝)は、この縄文土器の力強い表現に圧倒され、のちの作品の着想を得たといわれています。今も現代人の心を打つ力をこの時代の文化は有しています。

自然に恐れを持ち、その一方でそれに対抗しようとしたり、恭順したりして生きてきた古代の人々の生きることへの(⑦願い 絶望)を表しているのではないでしょうか。

農耕や牧畜が始まると作物の豊作を願う宗教的な側面が文化に表れてきます。古代(⑧インダス エジプトの美術は、たくさんの絵や文字が残されています。当時の生活や文化の様子が活き活きと絵から伝わってきます。絵としては独特で形式的な表現です。

古代ギリシャでは、人間の美の理想を追い求めました。それは人間を表す上でも反映されました。「ミロの( ⑨ )」などはそれを象徴するものです。


古代ローマの美術では、ギリシャの美術の影響を色濃く受けています。政治家や皇帝の大理石の像が作られ飾られました。のちの(⑩ルネサンス ロココ)の時代の文化に強い影響を与えました

答え ①スペイン ②巨石 ③ストーンヘンジ ④縄文 ⑤土偶 ⑥岡本太郎 ⑦願い ⑧エジプト ⑨ヴィーナス ⑩ルネサンス














2018年9月1日土曜日

20世紀の美術の練習問題

20世紀の美術について理解できたら、次の問題で確認してみましょう。

1.次の文の( )に適当な語句を入れよう。
ゴッホやゴーギャンなどの時代を経て時代は20世紀となります。19世紀の末から新たな時代を迎えます。印象派のあとは色や形はより広がりを示すようになってきます。( ① )と呼ばれる芸術運動です。この流れのなかで、花や植物・動物などの( ② )などをモチーフにしたデザインや装飾などが好まれました。

新しい動きとして美術の常識を打ち破る動きが起こりました。絵の世界は画家の( ③ )の中に思い描いたものを表現する要素が中心となってきます。自分が感じたものを絵として表現するために、自由に形を変えたり、自然とは違う色を示したりもするようなります。こうした動きが世界に広がります。

アンリ・マチスなどの( ④ )(野獣派)やジョルジュ・ブラックやピカソなどの( ⑤ )もそういった流れの中の美術です。

そしてキュビズムはもはや自然の形状を示すことから離れて、( ⑥ )芸術、そして現実を越えた( ⑦ )へとつながっていきます。

さらに現状の芸術の枠を打ち壊すという意味合いのある( ⑧ )などが起こります。

戦後の芸術は作家の意図や考え方などが重要とされるようになりました。芸術の価値観が変わりました。作家の込めたものを感じ取ったり、興味深い形をおもしろがったりする芸術がはじまりました。

ジャクソン・ポロックは、絵の具をたらして描いて偶然に生まれる面白さをキャンバスに表現しました。これを( ⑨ )といいます。

それからマルセル・デュシャンはただ便器を置いただけの「泉」という作品で人々を驚かせ、注目を集めました。

またアンディー・ウォーホルはスープ缶をいくつも画面に並べた作品を作りました。誰もが知っている既製品に表現を加えることで社会の一面を表そうと試みました。これを( ⑩ )といいます。

答え ①アール・ヌーヴォー ②形 ③心 ④フォービズム ⑤キュビズム ⑥抽象 ⑦ シュールレアリズム ⑧ダダイズム ⑨アクションペインティング ⑩ポップ・アート