今日は「鑑賞」のお話です。
少し前の話ですが、フランスのルーブル美術館に行ってきました。もちろん美術を仕事と趣味にしているので、フランスに行ったら、こことオルセー美術館は必ず行こうと決めていました。今日はその旅の様子はさておき、レオナルド・ダ・ビンチについてのお話です。
彼が生まれた頃のイタリアでは古代のローマやギリシャの時代の文化を見直し、人間を見つめ直す動きが文化の主流となった時代、つまりルネサンス(文芸復興)の時代でした。
彼は、14歳の頃、フィレンチェで画房に弟子入りしています。そこで、すぐに頭角を現し師匠よりもうまく人物を描いた逸話が残っています。
すでに20歳の頃には、皆さんの資料集にも載っているような作品を描いています。「受胎告知」はすでに将来の彼の特徴が絵に現れているとされています。
彼はその後も名作の数々を製作します。なかでも自らの手元に長く置き、いつも加筆を加え続けた作品がモナ・リザです。
ルーブル美術館でもこの作品の周りには何重にも人垣ができていています。人がとぎれることがなかなかありません。人垣が切れたところでやっと自分が一番前でモナ・リザと対面できました。思ったよりも小さな絵です。
この作品は他のルーブルの絵とは違い特別扱いで厚い防弾ガラスに覆われています。他の作品もどれも有名な名画ばかりなのですが、どれも素っ気なくそのままでかけられています。
そういった中でモナ・リザはこの扱いです。この部屋は他の絵もかけられているのですがものものしい警備がされ、警備員が目を光らせています。
この絵の裏には、この絵を守るための部屋があり、常に絵の状態を専門家たちが監視できるようになっています。
様々な逸話が残っていますが、以前は警備はこんなに厳重ではなかったようで、あっさり盗まれたことがありました。散々探し回ったあげく、なんと片田舎のホテルの部屋のベッドの下から見つかったことがありました。
その絵が現在ルーブル美術館に飾ってある絵です。有名な絵ですから模写や贋作(がんさく、にせもの)が市中には数多くあります。なかにはルーブルのは偽物で、自分の絵が本物だと主張する収集家もいるぐらいです。
そういうこともあって、いまではフランスはこの絵を至宝として大切に維持管理しています。日本にもやってきたことがありました。これはフランスにとっても特別なことでした。日本の文化に敬意を払うフランスならではの好意でした。
ルーブル美術館には彼の絶筆になる絵「洗礼者ヨハネ」も鑑賞することができます。絵の人物は天上を指差しています。この絵を見ていると、ダ・ビンチ自身が「じゃあ、これから(天上に)行ってくる。」とでも言いたげなふうに私には見えました。
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